お花が好きな人は、ケーキも好き。
これ、私の独断ですが、そう思いませんか?


お花を買いに来てくれるお客様と盛り上がるのは、ケーキのお話。あそこのケーキが、
それならあの店のケーキも美味しくて、とケーキ談義に花が咲きます。
どうして、お花好きは決まってケーキが好きなんだろう?
お花は可愛くて奇麗。ケーキは甘くて美味しい。2つの共通点で思い当たるのは、「匂い」です。
ケーキ屋さんの甘くて柔らかな匂い。お花屋さんのみずみずしくて優しい香り。
匂いに敏感な人は、ケーキやお花がもつ独特の匂いに誘惑されやすいのかもしれません。


特に花の香りって、思い出とリンクしませんか?
私の場合、糸杉のブルーアイスは、クリスマスの匂い。商店街のアーケードに充満したブルーアイスの香りのなか、華やかなクリスマスの飾りを見ながらワクワクして歩いていた子供の頃の自分を思い出します。


この香りと記憶の結びつきは、「プルースト効果」と呼ばれています。
五感の中で嗅覚だけが直接的に脳の感情を司る部位に信号を送るので、記憶に働きかける力が強いらしいです。


ハゴロモジャスミンの香りは、中学時代の下校の思い出。
通学路にあったお宅の庭先に植えてあったんだと思います。塀を乗り越えて、匂いだけが路まで届いていました。
登下校ともそこは通るのに、なぜか思い出すのは、春の下校時。行きは足早で、何かとせかせかしてたんでしょうね。帰りは心の余裕があったのか、ジャスミンの匂いがしっかり届いていたんだと思います。


私の癒しの匂いはスイートピー。
お花屋さんでアルバイトをしてた頃、「もう限界!」ってときに、スイートピーにお世話になりました。
春風にのるような可愛い香り。強い香りを放つお花ではないので、集めた束に顔をうずめて疲れも気持ちも癒して頂きました。


お花の香りには、懐かしい記憶を呼び起こす不思議な力があります。
「この花の匂いが好きだから」と、お花を選ばれるお客様がいらっしゃいます。なぜその匂いに惹かれるのか、ご自身にも分からないのかもしれません。
もしかすると、その方が歩んできた人生のどこかの1ページに、その匂いが結びついてるのかもしれません。しかも、大切な思い出と‥‥。


忘れていた大切な記憶。
私のお花の匂いで思い出して頂けたなら、花屋として最高に幸せです。